学び舎2


不良グループのバットをかいくぐり、正門に辿り着く。



何か通学路で見た学校と漢字が違う気もするが、 格闘技一筋のボクは読み書き算盤ができない。 まぁボクは細かい事は気にしない。

まずは中庭を散策する。
どこもかしこも荒れ放題だが、校舎にかかった垂れ幕に「祝」の文字が見えた。 こんな状況でもボクの入学を歓迎しようと頑張ったんだろう。
・・・読み書き算盤ができないって言ったばかりだが、 ボクは細かい事は気にしない。


ふと中庭の片隅にあるブランコで、人影が動いた。
目をやると、ブランコに座る学生が居た。
ボクは少しでもこの学校の話を聞けないかと思い、彼の前に腰を下ろした。



あ、失敬。
座った位置に他意は無いから。うん。

改めて、彼の横で話を聞いてみた。



ははは、ボクは細かい事は気にしない。
キミが男でも全然平気だから。むしろベター。

なんてコミカルな会話とボディタッチを重ねて彼の緊張をほぐしつつ色々話を聞いてみると、 どうも「こっくりさん」というもののせいで学校に悪霊が溜まってしまったらしい。


これはいけない。
三年生なんかは受験生だから、取り憑かれてたりしたら大変だ。 急いで悪霊を追い払わないと。

と思い駆け出したが、 よくよく考えると受験生がまさかトリスタなんてやってるわけがないから、 取り憑かれてる心配はなさそうだ。
・・・やってるわけないよね!


ゆっくり廊下を歩いてると、跳ねてる人に出会った。



この人も学校の悪霊を払うために来たらしいが、 手に負えない様子だ。ここは一つ協力しよう。
学校中に居る悪霊の依り代になっている人形から、杭を集めて来れば良いのか。


女生徒の人形はさほどでもなかったが、 男子生徒の人形は番長に勝るとも劣らぬ手強さだった。



しかし番長にも使った華麗なフットワークにタイミングを逃さない打撃、 そして類稀な根性による幾度とない現場復帰の前に敵はなかった。


ボクは無心で杭を集めた。

そして全ての杭を集めた頃、ボクはどちらがどちらの杭か覚えていない事に気付いた。
二種類の杭は腰の皮袋の中に無造作に放り込んであり、渡す際にどちらがどちらか判らないようではいけない。

ボクは再びもう一本づつ慎重に杭を集め、 どちらがどちらの杭なのか確かめようと目をこらした。



左側が女生徒、右側が男子生徒の杭。
微妙だが違う。渡す際に違いを述べられれば良いだろう。 ボクは杭を手に巫女さんの居る所へ戻り、笑顔でこう言った。


「突起物があるのが男で、無いのが女です。」


何故か巫女さんにいきなり力一杯平手で頬を打たれたが、 ボクはそんな細かい事は気にしない。

学園が一つ平和に近づくなら、それでいい。



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