イソギンチャク お前もか 火山で自分の修行不足を痛感させられたボクは、 次はおとなしく移動費の最も低いゴーストブルーと言うところに来た。 幻想的な音楽に珊瑚の並ぶ海底。 砂漠で乾いた素肌に、ひんやり湿度をもった空気が沁みた。 しばし周りを鑑賞し、修行の疲れを癒す。 しかし、前回あれだけの惨敗を喫したために、 そんなにのんびりはしていられない。 拳を磨き、強くなり、再びトカゲと戦うために。 ボクはこの地域のオブジョイトイを訪ねた。 どうやらオブジョイトイの話によると、 「アカメイソギンチャク」というモンスターを退治して欲しいらしい。 お安い御用、と引き受けた。 見つからない。 近くを散策して見つかるのは、 少年ジャンプの幽霊と露出狂、OVERもとい魚雷先生。 それに、この無駄に色気のある人魚。 色香で旅人を破産させる腹積もりに違いない。 このポーズのために君の相手をしてると、 今のボクでは財布がいくらあっても足らない。 それにしても見つからない。 と、何回死んだかわからない頃に、 ボクに微笑みかける人があった。 フレンチメイドに導かれ、ボクは見知らぬ町に飛んだ。 そしてすぐそばのポータルに入ると、 イソギンチャクと思しき物体がうじゃうじゃと。 ありがとうフレンチメイド。 お礼にサインでもあげようと思ったが、 怪訝そうな表情を浮かべたのでやめた。 うなだれた肩を奮い立たせて、イソギンチャクに殴りかかる。 しかし、殴れど殴れど、出てくる名前は「メダマイソギンチャク」だ。 普通の目玉に用は無い、赤いのを出せ。 ボクは学習した。 こういう時のソリトンレーダー。 捕捉。 撃破。 手強いが、人魚ほどではなく、 しばらくしてボクは2匹のノルマを達成した。 達成感に包まれ、 笑顔でオブジョイトイの元に戻ると、 彼女は笑顔を返してこう言った。 「一回死んだらリセットされます。やりなおし。」 それまでボクを包んでいた冷たい海水が、ふと暖かくなった。 目元限定で。 |